映画が先か、原作が先か 〜ドラゴン・タトゥーの女

2012-03-01 (木)

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先々週のことである。映画の趣味が近い友人・知人がこぞって「ドラゴン・タトゥーの女」を誉めていることに気がついた。今年ベスト3の1本として確定、デビット・フィンチャーワールド全開、出演陣が素晴らしい…などなど。ほほう。それは見に行かねばなるまい。

 

さて、ここで問題なのは、これは映画を先に見るべきか、あるいは原作を読んでから見るべきかということ。一般的には、「映画が原作を超えることはない」というのが定説だ。読者の頭の中にあるいろいろな景色を、最大公約数(あるいは最小公倍数)で映像(映画)化するという作業には、どうしてもそこに「取捨選択」がある。つまりは、原作=映画とはならないわけで、読者の頭の中にある「ぼんやりした映像」を「リアルな映像」に変換・創造し、より魅力ある世界を提示するというのは並大抵のことではないのだろう。

 

今回の映画の原作は、大ベストセラーの「ミレニアム1」である。まずは母国スウェーデンで映画化され、現在公開中のハリウッド版はそのリメイクとなる。つまりは、原作、母国版映画、ハリウッド版映画と、3つの選択肢があるのだ。そういえば母国版は、一時期レンタルDVDの棚を席巻していた時期があった。ということは母国版にも一定の支持はあったということだろう。ふむ。…ということで、週末出張があった挟んで、1週間をかけて、3つの「ドラゴン・タトゥーの女」に浸ってみたのである。

 

今回は、時系列に添っていくことにした。最初に発売された原作本を読み、母国版映画を見て、ハリウッド版を見た。

 

1)原作本。スティーグ・ラーソン作。さすがに世界的ベストセラーだけあって、物語としての完成度が高い。緻密なプロット、キャラクターの造形の素晴らしさ、謎が謎を呼ぶ見事な展開、そしてラストのカタルシス。読むのが遅いぼくでも、上下2巻を2日で一気読みしてしまった。非常によくできたエンターテイメント小説だった。

 

2)続いて母国版。ハリウッド版が公開中というタイミングなので、レンタルDVDは全部貸出中。うう。ところが、偶然にもレンタルが開始されたばかりの「完全版」が残っていた。劇場公開時にはカットされたシーンも30分ほど追加されて、この「完全版」はなんと全編186分。長過ぎるよ(涙)。涙をこらえつつ、2日に分けてみた。残念ながら、これはあまり好きじゃなかったな。まずキャスティングで全然のれない。ミカエルがミカエルに見えない(スウェーデンでは有名な俳優らしい)。そして一見イメージに近いリスベットもその演技には疑問。キャラクターの解釈が違うのだ(まさにリアル化がぼくに合ってない)。さらにはストーリーの「取捨選択」にも違和感。せっかくの物語にメリハリがなく平板な印象になっている。残念。

 

3)ややげんなりしつつ、ようやくハリウッド版につく。残業の帰りのレイトショーで。こちらは、なかなか素晴らしかった。冒頭の「移民の歌」でまずやられた。この冒頭部分は随分前にティーザーとして公開したのを見ていたけれど、大画面とドルビーサラウンドで見るのは迫力が違う。それにまた本編が凄い。あの長大な物語をざっくり整理して、比較的シンプルな話へと再構築している。

出演陣も文句なし。ルーニー・マーラの好演は誰もが絶賛することだろう。超〜らぶだ。これぞリスベット。ダニエル・クレイグをはじめとしたオトナたちの演技もよい。また、演出がキレまくってる。エグイ映像はしっかりエグく見せて正解。母国語版では簡素化されていたレイプシーンや惨殺シーンをしっかり丁寧に描くことで、この物語の「軸」の部分がクリアに浮かびあがるのだ。

たた、気になる点がなくはなかった。複雑なプロットを説明する部分が「詰め込んだ感」があって、情緒が削がれている。そしてラスト近く、ある謎解きの内容が変更されているのだが、原作を読んだ者としてはただのノイズになってしまっていること。まあ、原作を読んでない人にはまったく気にならないことかもしれない。

 

こうやって書いてみると、少なくとも本作については、予備知識なしで「ハリウッド版」をじっくり楽しみ、続いて「小説」を読んでより深い感動を得る、というのがオススメな気がする(この際、母国版はスルーしてよいかも)。

 

 

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